おせちメーカーとして約半世紀の歴史を刻む、恵那銀の森。創業者・
渡邉大作の夢「森と共生したい」という強い想いからゴルフ場跡地を買い
取り、この跡地を森に還す森づくり事業を2020年にスタートさせました。
このブログでは、この事業を担う、私たち「3代目森の番人」2名の夢と希望、
ワクワクだけでなく、苦悩やつぶやきもお伝えしたいと思います。
今回は、森のほっこりストーリーをお伝えします。
2021年夏は、雷の多い年でした。ゴルフ場でも落雷を記録し、遮るものがない
このエリアが危険地帯であることを、まざまざと認識させられたのです。ところで、
二度目の落雷で被害にあったのは、1つの根から4本が生えている、いわゆる「株立ち」
のヤマザクラ。被災した1本は伐採され、その生命は尽きたかのように思われました。
落雷の記憶がすっかり遠のいた冬。私は新工場の芝地にて、砂を擦り込む仕事に
励んでいました。芝の葉がうっすら顔を出す程度に砂を擦り込んでおくと、来春以降、
茎を傷めずに芝刈りができるからです。しかし、たまたま被災したヤマザクラのわきを
通りがかったとき、思わず目を丸くしてしまいました。
なんと、伐られたサクラが、新梢を出しています!冬芽の数も、決してまばらでは
ありません。ひとつの枝にみっちりと芽がついていたのでした。残る3本が元気
なのはまだ理解できるとしても、まさか感電したであろう樹そのものが、再生する
エネルギーを宿していたとは…。
とはいえ、落雷による生々しい傷跡も見られます。切株周囲の樹皮の一部は、ぶかぶかと
浮いてしまっています。それでも芽吹く、傷を負っても立ち上がる――。改めて感じ
させられた樹の強さと想像を上回る生命活動に驚き、そして喜びがこみ上げてきました。
本ブログでも何度か登場している、「自然の持つチカラを生かす」という森づくりの
キーワード。このヤマザクラが表すのは、“自然のチカラ”そのもののように感じられ
ました。ただ、こうした森のポテンシャルに気づくには、フィールドに通うだけ
でなく、つぶさな観察が欠かせません。ヤマザクラの新梢が分枝していたということは、
秋には芽吹いていたということ。私の発見は、約3カ月も遅れていたわけです(汗)。
ヤマザクラが教えてくれた樹木のポテンシャルと、それを感じ取る観察力。後者の
ほうがハードルが高そうですが、未来の森づくりに向けて、感性を研ぎ澄まして
いかなくてはなりません。まずは空に向かって伸びゆく新梢が、ほかの3本に
追いつけるか?をテーマに、じっくりと見守っていきたいと思います。
恵那銀の森は、人と森が共生できる社会を目指し、人と森をつなぐ場所づくりの
ひとつとして、閉鎖されたゴルフ場を人が集える場所にしていく「森づくり事業」
を進めています。 いつの日が子どもの笑顔があふれ、人々が森の癒しを感じて
もらえる森ができる日まで。私たちの取り組みは続いていきます。
http://ginnomori.info/shisetsu/ginnomori_vision.htm