おせちメーカーとして約半世紀の歴史を刻む、恵那銀の森。創業者・
渡邉大作の夢「森と共生したい」という強い想いからゴルフ場跡地を買い
取り、この跡地を森に還す森づくり事業を2020年にスタートさせました。
このブログでは、この事業を担う、私たち「3代目森の番人」2名の夢と希望、
ワクワクだけでなく、苦悩やつぶやきもお伝えしたいと思います。
今回は、新工場での樹木移植について、お話をさせてください。
昨年竣工した、おせちの新工場。広大な敷地面積を誇るこの新工場は、50万食
(現在の約2倍!)のおせち生産が可能とされている、途方もない工場です。
しかし、よ~く見ると、なんとなく緑地帯が物足りない…!?
そう、じつはここに「森をつくる」という野望もまた、広がっていたのでした。
「旧ゴルフ場内の木を移植する」。そんな渡邉会長の言葉に私自身もピンと
来なかった、樹木の移植。今年3月上旬、造園家の山田茂雄氏が来社して樹木の
配置を決定しても、何が行なわれるものなのか、いまいち想像がつかずに
いました。
移植そのものはもとより決まっていたため、昨年秋には初代森の番人が準備に着手。
2代目森の番人(恵那銀の森芝担当)が小型ブルドーザーで対象となる樹木の周囲を
掘り、丹念に細根を切って、いったん埋め戻しをしていたのです。この樹木は、
ゴルフ場に植えられていたアカエゾマツ。本来ならば北海道に生えているこの樹木を、
今度は工場の正面に持ってこようというのです。
これがオオゴトだと気付かされたのは、実際に重機が入り始めてからのこと。
ショベルカーで木の周囲を再度掘り起こして、根と土が一体となった「根鉢」が
崩れないよう丁寧に巻く。そしてそんな樹木のもとにクレーン付きトラックが
向かい、樹木を吊り上げ、運び出します。言葉にするといとも簡単ですが、木の
「重心」がどこにあるか、どうすれば木になるべく負担をかけずに運びだせるか、
木が回転しないようにするにはどうするか…。こればかりは、熟練のオペレーター
でも苦戦するほどの仕事なのです。
正直なところ、ここまで事が大きいと出番がない私…。ですが、気を取り直して
初代森の番人に相談し、根巻のお手伝いをさせていただきました。今年に入って
急遽移植が決まった、イロハモミジ。すでに掘られたこの木の根をお椀型に整えつつ
大小の根をきれいに切り、根鉢が崩れないように麻布+板線(太い金属の針金)で
固定するのです。いやはや、これがなかなか難しい!特にお椀型に整える工程には、
思わず「むずかしい~!」と漏らす始末でした。
そうこうするうちにも、次々と運び出されてくる、アカエゾマツの木々。高さ3~4m、
1本あたり推定1.5トンにもなる木々が次々に吊り出されてきたのです。繊細な操縦を
必要とするため、1本を運ぶのにかかる時間は、1時間以上に及ぶことも。
トラックのタイヤがスタックしたり、積み込みの際に吹いた強風で木が回転する
など、現場は重機総出のパワー勝負。驚きの連続でしたが、職人たちの力量で、
トラブルもなく進んでいったのでした。
とはいえ、これはまだまだ序章。次回の記事では、壮大すぎる「植え付け」
をお伝えします!