おせちメーカーとして約半世紀の歴史を刻む、恵那銀の森。
2020年には、創業者・渡邉大作の夢「森と共生したい」という強い想い
を叶えるべく、ゴルフ場跡地を買い取り、新おせち工場を建設しつつ、
森づくり事業をスタートさせました。
そんな事業を担うのは、私たち「3代目森の番人」と呼ばれる2名。
森と人をつなぐべく、森の持つ生命力に少しだけ手を加え、ゴルフ場
跡地を、森に戻す活動を始めています。どんな森に育てるのかは、
これからのお楽しみ。夢と希望、ワクワクだけでなく、苦悩もお伝え
していければと思います。
さて、先日は秋の訪れをお伝えしましたが、本日お伝えしたいのは、
「苗畑」へのビジターのこと。恵那銀の森では、2016年から地元の
幼保育園に通う子どもたちの小さな手をお借りして、ドングリ拾いと
苗づくり、さらに畑への苗植えを行なってきました。
苗はすくすく育ち、森の番人としては、ほっとひと安心していたところ
でしたが、苗が倒れてしまったのです。これはどうしたことでしょう?
そう思いつつ歩くと、なにやら地面が盛り上がっていたのです。
ふと、私たちの師でもある、初代森の番人の言葉を思い出しました。
「モグラには、気を付けないといかんぞ」。
ついに…!来てしまいました。地中の王者、モグラです。めったに
地上に姿を見せないためか、かえって好奇心をくすぐるのでしょう、
子どもたちには大人気ですが、私たちにとってはシビアな相手。
トンネルを張り巡らされてしまうと、苗が浮き、倒れ、苗が水分を
吸い上げることができなくなってしまいます。困りました…。
農家との長きにわたるせめぎあいから、モグラ対策は、さまざま。
振動と音で追い払う埋め込みグッズのほか、なかにはトンネル内に設置
したガムを食べさせての駆除を狙うものまで…。
でも、私たちの仕事は森づくり。森の一部をお借りして畑を
つくっているため、苗が浮いてしまったから、倒れてしまったから
という理由で、すぐにモグラを厄介者扱いするのも、考えものです。
そもそもモグラは、なぜトンネルを掘るのでしょう?それは、トンネルに「えさとなるミミズが落ちてくるから」。つまり、日々の食事を守るために、必死でわなをつくっているのです。そういった生活を知っていると、むげに命を奪う駆除や追い払いは、気が引けます。
「モグラに負けないくらい根の充実した苗をつくる」
「モグラ専用の畑を別につくって、トンネルを分散する」
こんなアイデア、甘いでしょうか。
地上だけでなく、微生物も含めた地中の生き物たちとの共存方法を
考えつつ、子どもたちの小さな手で植えた苗を無事に育てたい。
そして、その苗を森づくりに役立てて、いつか子どもたちがその風景を見に来てくれたら…。
あらゆる木々、獣や虫、鳥たちを微笑ましく見守れるのが「森の番人」
だとすれば、私たちはまだまだ未熟者です。100年先にそよぐ緑の風景を
夢見て、まだまだ修行は続くようです。
恵那銀の森は、人と森が共生できる社会を目指し、人と森をつなぐ
場所づくりのひとつとして、閉鎖されたゴルフ場を人が集える場所に
していく「森づくり事業」を進めています。 いつの日が子供の笑顔が
あふれ、人々が森の癒しを感じてもらえる森ができる日まで。
私たちの取り組みは続いていきます。
http://ginnomori.info/shisetsu/ginnomori_vision.html