おせちメーカーとして約半世紀の歴史を刻む、恵那銀の森。
創業者・渡邉大作の夢「森と共生したい」という強い想いから
ゴルフ場跡地を買い取り、この跡地を森に還す森づくり事業を
2020年にスタートさせました。
このブログでは、この事業を担う、私たち「3代目森の番人」
2名の夢と希望、ワクワクだけでなく、苦悩もお伝えして
いけたらと思います。
今回は、今春から始めた生物調査のことをお話させてください。
そもそも、この調査のきっかけは、ふとした疑問からでした。
ゴルフ場跡地にはどんな生き物が、どのくらいいるの?
外来種や絶滅危惧種、危険生物は?ゴルフ場時代の薬剤の影響は?
私たちのミッションは、「森の持つ生命力に少しだけ手を加え、
跡地を森に戻す」こと。その前に、どうしても把握していなければ
ならないテーマのひとつだったのです。
実際に調査がスタートすると、ゴルフ場=開発された森という
イメージからは想像できないくらい、多彩な生き物が見つかり、
その暮らしぶりがわかってきました。たとえば…
スイレンは、4月下旬から秋まで咲いていること。
咲き始めは白い花が多く、夏にかけてピンクが増えてくること。
どうやら、朝夕で開閉を繰り返しつつ、閉じるときに水没すること。
環境省が指定した絶滅危惧種Ⅱ類(近い将来、野生下では
見られなくなるかもしれない生物)のチョウトンボが、池に
暮らしていること。ヒシやスイレンなどの浮葉性植物があるから
こそ、ヤゴが育まれるかもしれないこと。
モズやヒヨドリに交じって、キツツキの一種・アオゲラが
見られること。枯れたアカマツで餌を集めるほか、求愛行動も
していること。
キジは主に春から夏に見られ、オスが盛んになわばりを主張
すること。メスは8月に草地で卵を抱き、10個あまりの卵を
孵すこと。
・・・もちろん、生き物だけを根拠に「森が豊か!」と断言
することはできませんし、ウシガエルやミシシッピアカミミガメ
などの外来種が暮らしていることも事実です。しかし、元気な
生き物の様子からは、確かな底力を感じられました。
さて、土壌や水質に本当に影響はないのでしょうか?そして、
生き物たちのポテンシャルを借りると、どんな森が育つの
でしょうか。表土は、どのくらいの厚さがあるのでしょうか。
これらの難問については、今年後半、さらなる調査を重ねて
いく見通しです。
「森と共生する」をテーマとするならば、やはり森という
巨大な生命体のチカラを借りるのがいちばん。そして、この
森にさまざまな人が関わることで、もっともっと、森の
ポテンシャルが広がっていくのでは――。
調査データからは、「思いがけないワクワク」という、
とても大切なオマケが得られたのでした。私たち森の
番人は、今後もいのちに耳を澄ませながら森を歩き、
汗をかきかき、生物調査を続けていきます。
恵那銀の森は、人と森が共生できる社会を目指し、人と森をつなぐ
場所づくりのひとつとして、閉鎖されたゴルフ場を人が集える場所に
していく「森づくり事業」を進めています。 いつの日が子どもの笑顔が
あふれ、人々が森の癒しを感じてもらえる森ができる日まで。
私たちの取り組みは続いていきます。
http://ginnomori.info/shisetsu/ginnomori_vision.html