おせちメーカーとして約半世紀の歴史を刻む、恵那銀の森。
創業者・渡邉大作の夢「森と共生したい」という強い想いから
ゴルフ場跡地を買い取り、この跡地を森に還す森づくり事業を
2020年にスタートさせました。
このブログでは、この事業を担う、私たち「3代目森の番人」2名の
夢と希望、ワクワクだけでなく、苦悩やつぶやきもお伝えします。
今回は、秋に行なった苗植えについて書いてみたいと思います。
「常緑性ドングリ(シイ・カシ)は梅雨どきに、落葉性ドングリ(ナラ・クヌギ)
は早春/晩秋に植える」。
これまで20年近く自然にかかわる仕事をしてきた私ですが、これは入社後に
初めて知ったこと。モミジが色づく秋を迎え、落葉ドングリの畑への移植を
始めることにしました。
しかし、今年の秋の苗植え前には、やらなくてはならないことが…。
春先に作った秋植え用スペースが、梅雨~夏の雨で勢いづいた雑草に、
すっかり覆われてしまっていたのでした。こうした雑草は、根っこが
強いイネやカヤツリグサの仲間たち。夏はその勢いに負け、抜くことが
できなかったのです。まさに、「根比べ」に敗北した形です。
よく見ると、イネやカヤツリグサ以外にも、冬に向けた準備をする姿が。
植物の中には、こうしてぺったりと葉っぱを広げた“ロゼット”をつくるものが
います。これは、いわば省エネ体制。成長は抑えつつも、太陽の熱はしっかり
葉っぱに受けるという、彼らが長年かけて編み出した知恵なのです。感心感心!
・・いやいや!冬越しされては困るんです!!
ということで、種をつけた雑草やロゼットを丁寧に抜いて、一輪車に積み
込みます。せっせと作業していると、シンと静まりかえる森に「カサッ」
と音が響くことに気づきました。これはドングリが落ちて、落ち葉に当たる
音。「カサッ」、「カサッ」、「カサッ」。それにしても、その回数が
やけに多いのです。そんなに大量のドングリが連続して落ちるわけないのに、
と顔を上げてみると…。
カモシカでした!ドングリの落下音に似たその音は、足音だったようです。
カモシカはゆうゆうと草をはみながら、畑を囲むネットの外を行ったり
来たり。かたや、なんとか写真を撮ろうとするミーハーな私…。
やがてゆっくりと、森の奥へ消えていきました。
神秘的な遭遇のあと、無事に顔を出した苗植えスペースに、コナラやクヌギの
苗を植えました。紅葉しているのは、健康体の証拠!深まる秋に彩りを添える
苗木の健気な姿からは、さきほどのカモシカたちとも共生できる未来の森が、
垣間見える気がしたのでした。
ただ、膨らむ未来とは裏腹に、目の前には枯れた種付き雑草がてんこもり…。
この秋冬に、それらをきれいに片づけて、来春の準備をしないといけません。
雑草の種だけでなく、”悩みの種”もまた、尽きないのでした。
恵那銀の森は、人と森が共生できる社会を目指し、人と森をつなぐ
場所づくりのひとつとして、閉鎖されたゴルフ場を人が集える場所に
していく「森づくり事業」を進めています。 いつの日が子どもの笑顔が
あふれ、人々が森の癒しを感じてもらえる森ができる日まで。
私たちの取り組みは続いていきます。
http://ginnomori.info/shisetsu/ginnomori_vision.htm