おせちメーカーとして約半世紀の歴史を刻む、恵那銀の森。創業者・
渡邉大作の夢「森と共生したい」という強い想いからゴルフ場跡地を買い
取り、この跡地を森に還す森づくり事業を2020年にスタートさせました。
このブログでは、この事業を担う、私たち「3代目森の番人」2名の夢と希望、
ワクワクだけでなく、苦悩やつぶやきもお伝えしたいと思います。
今回は森の様子、そして子どもたちが植えてくれたドングリの苗木について
お話をさせてください。
「名古屋に比べて1か月ほど季節が遅い」。これは恵那峡の季節を表すときに
良く言われる言葉です。朝晩の冷え込みの強いこのエリアでは、ソメイヨシノが
開花するのも4月に入ってから。ひと足早くゴルフ場跡地で開花を始めたのは、
シデコブシでした。
この季節の東濃地方は、「艶(あで)やか」というコトバが良く当てはまります。
桜の名所として知られる千鳥ヶ淵などの絶景にはかなわないけど、山々にハナノキの
紅色、シデコブシの濃ピンク、コバノミツバツツジの赤紫、そして湿地を彩る
ハルリンドウなどが次々に開花し、ときにギフチョウが蜜を求めて山を舞うのです。
まるでそれは、待ちわびた春到来を山全体が楽しんでいるかのようです。
さてさて、そんな美しい春にココロを奪われつつ、子どもたちと昨年一緒に植えた
ドングリの苗畑を訪れました。すると…。マテバシイの苗木、20本ほどが枯れ色に!
昨春はこんなことなかったのに、、、今年は寒かったのでしょうか。あるいは、
春先の霜と乾燥の繰り返しがこたえてしまったのでしょうか。
あえなく枯れてしまったドングリを引き抜いてみて、その謎が解けました。
どうやら、細かい根を出すことができなかった苗木がうまく吸水できず、枯れて
しまったようなのです。どうやらこの子たちは、ポット時代からうまく値を伸ばせて
いなかったのでしょう…。
「20本ほどが枯れ色」と書きましたが、完全に枯れていたのは7本。では残りは、
というと…。これぞドングリの生命力!根っこは生きており、枯れた幹の下から、
ぞくぞくと新梢が上がっていたのです。幼保育園の子たちのネンリキなのか、
はたまた、「強健」とされるマテバシイゆえの性質なのか…。まるでその様子は、
雑草魂のようでした(マテバシイに失礼!?)。
スミレの紫がじゅうたんのように草地を彩った、春。ドングリたちにとっては少し辛い
体験でもあったようですが、生命力は決して絶えていません。その様子に、ほっと
胸をなでおろすことができました。
私たちが今できることは、ひたすら苗木のチカラを信じつつ、植えてくれた人々の
想いを絶やさないこと。そして、その苗木をいつか美しく艶やかな森の一部にする
ことができたらーー。ほろ苦い経験をしつつも、新たな夢が芽生えた春となりました。
恵那銀の森は、人と森が共生できる社会を目指し、人と森をつなぐ場所づくりの
ひとつとして、閉鎖されたゴルフ場を人が集える場所にしていく「森づくり事業」
を進めています。 いつの日が子どもの笑顔があふれ、人々が森の癒しを感じて
もらえる森ができる日まで。私たちの取り組みは続いていきます。
http://ginnomori.info/shisetsu/ginnomori_vision.htm