おせちメーカーとして約半世紀の歴史を刻む、恵那銀の森。創業者・
渡邉大作の夢「森と共生したい」という強い想いからゴルフ場跡地を買い
取り、この跡地を森に還す森づくり事業を2020年にスタートさせました。
このブログでは、この事業を担う、私たち「3代目森の番人」2名の夢と希望、
ワクワクだけでなく、苦悩やつぶやきもお伝えしたいと思います。
今回は、ドングリの苗づくりについてお話させてください。
1年前に植栽したこの苗畑に植わっているのは、地元幼保育園児の手によって
植えられたドングリの苗。小さな子どもたちが一生懸命拾ってくれたアラカシ(上)、
シラカシ、ウバメガシ、そしてマテバシイのドングリを育てています。
特にすくすく成長するのは、カシ類。
元気いっぱい、順風満帆といった表情です。
材が備長炭の素材にもなるウバメガシは、背が伸びるというより、
横に横にと枝を伸ばすようになりました。
こうして樹種によって個性的な成長の仕方をするところ、
面白いものですね。
いっぽうで、暖かい風土を好むマテバシイは、少し不調気味…。
今冬は特に調子が悪く、20株以上が集団で枯れてしまいました
(写真中で植わっていないところは、あえなく枯れたところです)。
生育するものの葉も黄色っぽいので、幼いときはあまり
多くの光を欲していないのかも…。
こうした対策としていくつか考えられるのは、「光環境」の改善、そして
「雑草との共生」でしょうか。
光については、マテバシイ亡きあとに生育を始めたサクラの苗
(苗ポットにしぜんに入っていたもの)が使えるかもしれません。
こうした成長が早い樹種を、マテバシイたちの“日傘”がわり、先日学んだ
パーマカルチャーでいうところの「キャノピー」(屋根)になるように育てる…。
そんな方向性があるかもしれません。
ただ昨年、この植物の大繁殖に悩まされた経験もありました。
ここで、発想の転換を。種を取っておけば、畑を埋め尽くすこともない
のでは?よく見ると、茎の先に花穂がついています。
これ、意外と簡単に収穫(!?)できるんですよ。
(花は一時的なので、つくりが粗いんでしょうか)
しかも、どうもヒエなどに近い種類みたい…ということで、
炒ってお茶にするといった利用法もあるかもしれません。
これ以外にも、もうひとりの三代目森の番人から教えてもらった
土づくりのいち技術「フーゲルカルチャー」やあえて防草シートを
使わない方法などなど、あらゆる方向が考えられそう。
こうして苗木そのものをピンフォーカスで見るのではなく、やや引いて
全体の環境を見てみると、可能性がたくさん見えてきました。
一年経ってやっとわかってきた、苗木のこと。
彼らの生きざまから見えてきた情報をもとに、少し苗畑の方針転換を
考えてみたいと思います。こうしたシフトの積み重ねが、
きっとよりよい森の未来につながるはず。
それを信じて、森になじむ健全な苗木を育てていきたいと思います。
恵那銀の森は、人と森が共生できる社会を目指し、人と森をつなぐ場所づくりの
ひとつとして、閉鎖されたゴルフ場を人が集える場所にしていく「森づくり事業」
を進めています。 いつの日が子どもの笑顔があふれ、人々が森の癒しを感じて
もらえる森ができる日まで。私たちの取り組みは続いていきます。
http://ginnomori.info/shisetsu/ginnomori_vision.htm