おせちメーカーとして約半世紀の歴史を刻む、恵那銀の森。創業者・
渡邉大作の夢「森と共生したい」という強い想いからゴルフ場跡地を買い
取り、この跡地を森に還す森づくり事業を2020年にスタートさせました。
このブログでは、この事業を担う、私たち「3代目森の番人」2名の夢と希望、
ワクワクだけでなく、苦悩やつぶやきもお伝えしたいと思います。
今回は前編に引き続き、新工場での樹木移植についてお話をさせてください。
クリスマスツリーを思わせる濃緑色の葉をつけるアカエゾマツの大木に加え、
秋の彩りを加えるイロハモミジも続々と運び出されてきました。こちらも、
ゴルフ場内で選定・根掘りされたもの。ただしその重量は1.5~2tと思われる
ほど巨大なため、大型クレーンで吊り上げます。これらは、それぞれ所定の場所
まで移動していくのです。
見てください、この圧巻の風景を!トラックの荷台に樹木が堂々と横たわり、
めいめいの場所へ…。植え付け用に掘られた穴には、水はけを良くするために
「パーライト」という粗い粒の砂利をパラパラとまいたのち、木々をクレーンで
吊り上げて、“直立する”ように置き、植え付けていくのです。
「直立する」ーこうして書いてみると、なんと薄っぺらな響きでしょうか…。
きれいに根巻はされているものの、木のなかには斜めになりたがる者あり、わずかに
傾きたがる者あり、「根鉢」(根っ子と巻いた土)が崩れそうなものあり。根っこの
形が千差万別であればこそ、ぴたりと直立するケースはほとんどありません。
絶妙のバランスを見極めながら、一度は降ろしたものを再度吊り上げ、大きな石や砂を
入れて安定させ、再度降ろして確認して…。トライ&エラーの繰り返しを経てやっと、
「直立」という状態にこぎつけられるのです。
さて、やっとこさ木が直立したら、穴を掘削した際に出た土を投入します。
ダンプに積んだ土を入れて、それを根の下に押し込むようにざくざくと剣先
スコップを入れて、丁寧にならしていきます。ここまでくれば、もう少し!
あらかじめ剥がした芝を張り直して砂を撒き、木の足元も整えます。
春の陽気に、汗がしたたり落ちます。
初代はというと…。根付いていない木は強風を受けて倒れてしまう場合もあるため
アカエゾマツの木にするすると登り、枝をすいていきます。臆することなく、地上
3mほどまで涼しい顔で登っていく初代森の番人。ときに脚立さえ頼らない登り方を
する様子には、熟練の重機オペレーターも度肝を抜かれ、「おお~っ」と声を
漏らしていました。こうした軽業ができるのは、往年のプロフェッショナル山師
なればこそ。正直なところ、こればかりは私もマネできる気がしません。
枝の重さでどうしても傾くケースもあります。これに対しても初代は、添木を
して枝を支えてやって…。そのあと、イロハモミジの幹はかなり上部まで
麻布を巻いて、保護していました。これは、夏の照り返しによる日焼けを防ぐ
ためだとか。ここまでしてやっと、やっと、やっと…移植が完了しました。
完了後は、こんな景観に…。当初はなにも木が生えていなかった芝地に、
「森が出現」したのでした。とにかくもお役に立てなかった私でしたが、
とにかく昨年から準備に勤しんできた初代・二代森の番人には頭が下がる
ばかりです。そして、オペレーターの皆様も、およそ1カ月にもおよぶ大仕事、
お疲れさまでした。この場をお借りして、御礼申し上げます!
私もいつか、移植のような大事業を担えるよう、真摯に努力を続けたいと
思います。
恵那銀の森は、人と森が共生できる社会を目指し、人と森をつなぐ場所づくりの
ひとつとして、閉鎖されたゴルフ場を人が集える場所にしていく「森づくり事業」
を進めています。 いつの日が子どもの笑顔があふれ、人々が森の癒しを感じて
もらえる森ができる日まで。私たちの取り組みは続いていきます。
http://ginnomori.info/shisetsu/ginnomori_vision.htm