おせちメーカーとして約半世紀の歴史を刻む、恵那銀の森。創業者・
渡邉大作の夢「森と共生したい」という強い想いからゴルフ場跡地を買い
取り、この跡地を森に還す森づくり事業を2020年にスタートさせました。
このブログでは、この事業を担う、私たち「3代目森の番人」2名の夢と希望、
ワクワクだけでなく、苦悩やつぶやきもお伝えしたいと思います。
今回は、先日始動したばかりの、パーマカルチャーデザインに必要な、
調査についてお話させてください。
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今年7月。「ゴルフ場跡地を森に戻す」というミッションについて、
大きな大きな動きがありました。私たちは、「パーマカルチャーデザイン」
という技法を利用して、森づくりをするという方向性を定めたのです。
パーマカルチャーデザインは、いわば自然のチカラを借りて森をつくる
という、サスティナブル(持続可能)な技法のひとつ。オーストラリア発祥の
この技術は、世界の伝統技術をもちいる、いまゴミとなっている資源を有効
活用する、地域コミュニティを活性化し、人にも恩恵があるーーといった、
きわめてまれな技法です。
もちろん、専門知識のない私たちのチカラでは、まったく不足。
ということで、私たちが以前視察したフォレストガーデン富塚(浜松市)も
手掛けていらっしゃる、パーマカルチャーデザインラボさんという
心強いパートナーの協力のもと、森づくりを進めていくことになりました。
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この技術のスゴイところは、ただ漫然と木を植えるのではないところ。
太陽の動き、水のルート、風の通り道、野生動物の動き、土の状態などの
”自然のふるまい”を観察し、それをベースとして、具体的な利用方法を
考えつつ、土づくりからデザインしていくのです。
デザインのために必要な情報を集めるのは、ずばり私たちの「足」。
デスクでわかることもありますが、わからないテーマについては
ゴルフ場跡地に通いつめて、ひたすらに向き合っていかなくては
なりません。
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フィールド調査が本格的にスタートしたのは、今月上旬。
まずは「地形」と「土壌」を調べるため、徹底的に歩きつくします。
なにより私たちが感じたのは、この跡地はゴルフ場としては小規模ながら、
「かなり広い!」ということ。正直なところ、このふたつのテーマを
調べるだけでも、丸2日。雷雲と雨、そして暑さに悩まされつつ、
一歩一歩、つぶさに情報を拾いながら歩いてきました。
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特に私が担った土壌については、スコップで各所を掘って、
土壌の特徴や掘りやすさ、栄養分がありそうかどうかまで、かなり
綿密な情報を蓄積しました。
特に樹木が根を張るには、どんな土があるのかを把握しておく
ことが大事なのでしょう。
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特に驚かされたのは、土の硬さでした。山を削って造成したのではと
思われるファーウエイは、表面にスコップを突き立てようとすると
「コン!」という音がしてはじき返されるほど。
深く深く根を張るとされるヨウシュヤマゴボウは、真横に根っこを
張っていることもわかりました。それほどまでに硬い、ということ
なのでしょうか‥。いっぽうで、わずかながら土地を削らず、そのまま
活用したであろう場所があることもわかりました。
これらひとつひとつが、私たちの森づくりにとって、
大きな大きな収穫となるのです。
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野外調査は、これからまだまだ続きます。今後もテーマを変えて
調査していくわけですが、情報量があまりに多いため、
「今日は3テーマくらいまとめてやっちゃおう!」
というわけにもいきません。
森づくりは、一歩一歩。まだ具体的な森は見えませんが、
着実に未来の森に近づいていることを心に留めながら、
ゆっくり、小さな一歩を礎にしていきたいと思います。